人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『マイ・ラウンジ・ミュージック』への思い 2017 秋 ④~今しか出せない音。

『マイ・ラウンジ・ミュージック』への思い 2017 秋 ④~今しか出せない音。_d0003502_13093083.jpg
大学の録音実習でレコーディングした曲は普段僕がホテルラウンジなどで演奏しているナンバーの他、ライブでピアノトリオで演奏しているスタンダードやオリジナル曲など。ピアノを演奏する時は職人的な方法論からその演奏が意図的に構築される部分が大いにあるのだけれども、テイクバックのスピーカーから流れる僕のピアノはそんな要素は全く感じられない、素直に歌が表現されているリラックス感のある演奏でした。そして特にバラードは自分がこれまでに弾いたこともない様なシンプルながら、優しく、切ない感じ。こちらも今までで一番といって良いくらいのピュアな演奏。

演奏家は自分のパートナーが亡くなったり、家族や大切な人に不幸があったり、つらいことがあると演奏に気持ちが入るので、内容が洗練されて来る、つまり良い内容になるなんてよく聞く話だけれど、自分のピアノにもそんなことが起こるとは思いませんでした。正直自分でも驚きでした。きっと今しかこんなピアノは弾けないと思う。この今のピュアな気持ちを、これまでに無く洗練された心からのピアノの演奏を記録しておくべきでないかと思った時に、迷わず一つの結論に達しました。

今だからこそ弾ける僕のソロピアノを、貯まっていたラウンジピアノのレパートリーで録音しよう。

母が亡くなって、残念ながらバンドでのレコーディングは中止になってしまったけれども、幸い僕のスケジュールも、エンジニアの富さんのスケジュールもそのままキープされていた。無理な思いつきだけれども富さんにその旨お願いすると、


「やりましょう!」


何かに惹きつけられる様に、ものごとが進み始めていく。富さんのコーディネートにより、急な事で時間が無いにもかかわらずソロピアノ録音用のスタジオが奇跡的に押さえられた。まさかこのタイミングでソロピアノのレコーディングが現実に動き出すとは思いませんでした。


つづく






by itasunsun | 2017-09-18 00:17 | 音楽

今日も楽しく!Jazz Pianist板垣光弘の日記です!


by itasunsun