板垣光弘ソロピアノコンサート『マイ・ラウンジ・ミュージック 2021 春』への思い④ アルバム『マイ・ラウンジ・ミュージック』が生まれた理由・その②
2021年 01月 31日
2015年は自分にとって最悪な年でした。いつも応援してくれていた母が胃がんを患い、手術と闘病が始まりました。そして同じ時期に私の師匠辛島文雄さんの膵臓がんの闘病がはじまります。母は翌年残念ながら亡くなりました。
音楽家はこの様な悲しい状況に置かれると、演奏が良くなると言われています。演奏に思いがこもり、集中し、ジャズという自由な音楽においては無駄な音を一切出さなくなるといったことが理由でしょうか。母の死後すぐに録音したこの『マイ・ラウンジ・ミュージック』はそんな奇跡的な演奏が残されています。
師匠の辛島さんは2017年の2月に亡くなってしまうのですが、実はこのアルバムは辛島さんに聴いてもらうことができました。(間に合いました)
2016年の11月のある日。突然電話がかかって来て『板垣!CD聴いたぞ。お前上手くなったな。本当に良かったぞ!』
絶対に弟子を直接褒めることのない辛島さん。最後の最後に励ましてくださるつもりだったのかもしれませんが、とても嬉しかったのを覚えています。お褒めの言葉の後アドバイスもたくさん頂きました。
同時期に母と、父親の様な存在の辛島さんの闘病の時期が重なり、順に亡くなるという本当に辛い時期でしたが、おそらくこのくらいの事を背負っている人は沢山いて、もっと辛い状況に向き合っている人もごまんといると思います。何も背負ってない人なんていないし、このコロナ禍もそう。
さてそんな思い入れの中から生まれたCD『マイ・ラウンジ・ミュージック』今だからこそ聴きたい優しい音に溢れています。是非皆さんの思い出やいろんな想いを巡らせながら、自由にリラックスして聴いていただきたいです。
好評につきリマスタリング盤として再び発売になります。
板垣光弘ピアノ・ソロ『マイ・ラウンジ・ミュージック』(リマスタリング盤)BWJC-3004 ¥2,000+税
よろしくお願いします。
つづく
by itasunsun
| 2021-01-31 22:23
| 音楽